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※宗茂ED後、設定で・・・
「迎えに来いとはいい身分だな」
妻の声に宗茂は、にやっと笑みが浮かべる。
領地に入ってすぐの山林。
その山道を行けば小さな川が流れている。その川岸に馬を繋ぎ、宗茂は誾千代を待っていた。山路に微かな足音が響き始め、足音の主が姿を現すのをだいぶ前からずっと待っていた宗茂だったが、現れた足音の主である誾千代の眉根は、濃く歪んでいる。
静かに怒っている顔だ。
「お前がいなくてどれだけ家の者が困っているか――」
「うちの奥さんが優秀で本当に助かるよ。内政はお前の方が得意だ」
「そう言い訳してふらふらと勝手に旅に出るな!」
「なんだ、俺がいないと寂しい――」
「そんなわけないだろう!!」
瞬間、刀に手をかけて、キッと睨みつけてくる誾千代に、相変わらずだな、と宗茂は笑う。
「本当に迎えに来てくれるとは思わなかった」
「迎えに行かず、またふらふらとどこかに行かれても困るからな」
さぁ、帰るぞ、と言って背を向けた誾千代に、
「勝手に城を出て行かれる気持ちが少しでも分かったか?」
そう言えば、その肩がぴくりと震えた。
宗茂が柳川城に入ったばかりの頃、誾千代は宮永村に館を構え、移り住んだ。
それもだいぶ前のこと。
「お前がふらふらと旅に出る理由のひとつに、それを私に知らしめたいというのがあるのか?」
振り向きもせず誾千代は問う。宗茂は答えない。
まだ城に帰る気はない。もう少し――・・・。
焦れたように誾千代が振り返るのを待って、
「もう少しここでゆっくりしようじゃないか。お前にも息抜きが必要だ」
「お前は息抜きばかりだろう!」
「だから、お前にもそんな時間が必要だと言っているんだ」
ごろりと川岸に横になる宗茂を、しばらくじっ・・・と見下ろしていた誾千代だったが、宗茂が言い出したらきかないことを知っているので、溜息とともに人ひとり分の距離をおいて座り込む。
すると、宗茂が寝返りをうつように近づいてくるので、誾千代はまた距離を置く。
そんなことを二度、三度繰り返して、ようやく誾千代の手を握った宗茂は笑う。
その手を振り払おうとする誾千代の手を引っ張って、ぐっと抱き寄せる。
誾千代の体が宗茂の上に覆い被さるようになり、慌てて体を起こそうとするので、体の位置を入れ替えるのに、転がる。
宗茂は、自分の体の下に組み敷いた誾千代に、満足気に頬を揺らす。
相変わらず誾千代の眉根は濃く、怒っている。けれど、そんなのはいつものこと。
誾千代の香りを、体温を身近に感じて思うのは、
「あぁ、帰ってきたんだな」
口に出して言えば、誾千代の眉根が解けた。
代わりに、にやっと笑った気がした。
「馬鹿な男だな」
誾千代が言う。
その言葉の意味が分からず、今度は宗茂が眉根を歪ませる。
「本当に馬鹿な男だ」
再びそう言えば、そっと宗茂の首に手を回してくるので驚けば、
「やらないのか?そのつもりだったのではないのか?」
「有難いお誘いだな」
「あぁ、お前は馬鹿な男だ」
楽し気にけらけらを笑い出した誾千代の唇を、宗茂は塞ぐ。
宗茂に抱かれながら誾千代は、たまらなく楽しくなる。宗茂の手が、唇が自分を求めて、体を這い回る。
この瞬間、勝利にも似た感情が湧き上がって嬉しくなる。
あぁ、馬鹿な男だ。
いくら旅に出てもかならず自分の元に帰ってくる。
どこにいても自分を求めている。
あぁ、馬鹿な男だ。
宗茂から与えられる女悦とは別の違う愉悦に誾千代は嬉しくなる。
何がそんなに面白いのだろうと宗茂は思いながら、妻の体を弄る。
この肌が恋しくて、旅に出ていてもつい帰りたくなる。
妻と繋がればその瞬間、手に入れた、と思うのに、すぐにするりと交わされる。
誾千代がそれを楽しんでいるのは分かっている。
これからも――。
これからもこの調子なのだろうな、と宗茂は思う。
思いながら、それも悪くないと楽しむ自分もいる。
これがふたりの夫婦のカタチなのかもしれない。
「迎えに来いとはいい身分だな」
妻の声に宗茂は、にやっと笑みが浮かべる。
領地に入ってすぐの山林。
その山道を行けば小さな川が流れている。その川岸に馬を繋ぎ、宗茂は誾千代を待っていた。山路に微かな足音が響き始め、足音の主が姿を現すのをだいぶ前からずっと待っていた宗茂だったが、現れた足音の主である誾千代の眉根は、濃く歪んでいる。
静かに怒っている顔だ。
「お前がいなくてどれだけ家の者が困っているか――」
「うちの奥さんが優秀で本当に助かるよ。内政はお前の方が得意だ」
「そう言い訳してふらふらと勝手に旅に出るな!」
「なんだ、俺がいないと寂しい――」
「そんなわけないだろう!!」
瞬間、刀に手をかけて、キッと睨みつけてくる誾千代に、相変わらずだな、と宗茂は笑う。
「本当に迎えに来てくれるとは思わなかった」
「迎えに行かず、またふらふらとどこかに行かれても困るからな」
さぁ、帰るぞ、と言って背を向けた誾千代に、
「勝手に城を出て行かれる気持ちが少しでも分かったか?」
そう言えば、その肩がぴくりと震えた。
宗茂が柳川城に入ったばかりの頃、誾千代は宮永村に館を構え、移り住んだ。
それもだいぶ前のこと。
「お前がふらふらと旅に出る理由のひとつに、それを私に知らしめたいというのがあるのか?」
振り向きもせず誾千代は問う。宗茂は答えない。
まだ城に帰る気はない。もう少し――・・・。
焦れたように誾千代が振り返るのを待って、
「もう少しここでゆっくりしようじゃないか。お前にも息抜きが必要だ」
「お前は息抜きばかりだろう!」
「だから、お前にもそんな時間が必要だと言っているんだ」
ごろりと川岸に横になる宗茂を、しばらくじっ・・・と見下ろしていた誾千代だったが、宗茂が言い出したらきかないことを知っているので、溜息とともに人ひとり分の距離をおいて座り込む。
すると、宗茂が寝返りをうつように近づいてくるので、誾千代はまた距離を置く。
そんなことを二度、三度繰り返して、ようやく誾千代の手を握った宗茂は笑う。
その手を振り払おうとする誾千代の手を引っ張って、ぐっと抱き寄せる。
誾千代の体が宗茂の上に覆い被さるようになり、慌てて体を起こそうとするので、体の位置を入れ替えるのに、転がる。
宗茂は、自分の体の下に組み敷いた誾千代に、満足気に頬を揺らす。
相変わらず誾千代の眉根は濃く、怒っている。けれど、そんなのはいつものこと。
誾千代の香りを、体温を身近に感じて思うのは、
「あぁ、帰ってきたんだな」
口に出して言えば、誾千代の眉根が解けた。
代わりに、にやっと笑った気がした。
「馬鹿な男だな」
誾千代が言う。
その言葉の意味が分からず、今度は宗茂が眉根を歪ませる。
「本当に馬鹿な男だ」
再びそう言えば、そっと宗茂の首に手を回してくるので驚けば、
「やらないのか?そのつもりだったのではないのか?」
「有難いお誘いだな」
「あぁ、お前は馬鹿な男だ」
楽し気にけらけらを笑い出した誾千代の唇を、宗茂は塞ぐ。
宗茂に抱かれながら誾千代は、たまらなく楽しくなる。宗茂の手が、唇が自分を求めて、体を這い回る。
この瞬間、勝利にも似た感情が湧き上がって嬉しくなる。
あぁ、馬鹿な男だ。
いくら旅に出てもかならず自分の元に帰ってくる。
どこにいても自分を求めている。
あぁ、馬鹿な男だ。
宗茂から与えられる女悦とは別の違う愉悦に誾千代は嬉しくなる。
何がそんなに面白いのだろうと宗茂は思いながら、妻の体を弄る。
この肌が恋しくて、旅に出ていてもつい帰りたくなる。
妻と繋がればその瞬間、手に入れた、と思うのに、すぐにするりと交わされる。
誾千代がそれを楽しんでいるのは分かっている。
これからも――。
これからもこの調子なのだろうな、と宗茂は思う。
思いながら、それも悪くないと楽しむ自分もいる。
これがふたりの夫婦のカタチなのかもしれない。
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